昭和63年の広報いわせに載っていた久原農村公園オープンの知らせ。これをイメージして見に行った。
久原集落から山の方向へ向かう1車線の舗装路を進むと右側に駐車場が見えてくるのだが、光景に驚いた。ただの草っぱらだ。
意を決して草に足を踏み入れた。遊具は完全に放置され、人類滅亡3年後くらいの景色が広がっていた。中には箱ブランコとかいう昔ならではの遊具もある。
極めつけはひょっとこ広場。オープン時の写真ではきれいに整った舞台だったが、今はこの有様。石段は荒らされ草はボーボー。唯一ステージのみが当時のまま残っている。
ステージから山麓側を見る。建設時も景観をウリにしていただけあって眺めは良い。
ほかの小塩・今泉の農村公園は今でもきれいに整備されているのだが、なぜ久原農村公園だけここまで荒廃してしまったのか。
公園へのアクセスの悪さや遊ぶ子どもが減りまくったのもあるが、一番は「久原のひょっとこ」の衰退だと思われる。
久原のひょっとこは久原地区に伝わる伝統芸能。明治の初めに久原の人々が各地の祭礼の催し物として公演したのが始まりで、地区の後継者によって伝承されてきた。
昔は稲田の石祭りや笠間稲荷の祭事で披露するなど人気の芸だったが、ひょっとこ芸の人気低下や後継者不足によって衰退してしまった。
現在は久原ひょっとこ保存会がごく稀に披露するのみで、普段見る機会は全くない。公園が完成した1990年ごろでもかなり衰退していたはずだ。
芸能振興の意味合いもかねてひょっとこ広場を整備したのだろうが、披露する芸自体がなくなれば公園自体の存在意義もなくなってしまう。
今の公園は荒れ放題だが、再整備する必要性は残念ながら見当たらない。このまま自然に還るのだろう。