裏筑波は裏じゃない

茨城岩瀬の大学生 地元についていろいろと

石匠のみち

国道50号線岩瀬バイパスの側道は「ラブ・ロード50 石匠のみち」という名で整備されている。平成3年に完成したものだ。

石匠のみちには全国の石工が制作した彫刻品14点が約1㎞に渡って展示されている。今回は西から順に見ていこうと思う。

駐車場

西からなので、初めは駐車場。建設当時は車で彫刻を鑑賞しに来る人や道沿いの商店で買い物する人が想定されていたため駐車場が設置されている。

10台分ほどスペースが取られているが、いつもたいてい1,2台しか停まっていない。ゼロなんてこともザラにあり、あまり有効活用できていない場所だ。

案内板とABCコンテスト受賞碑

次はナカタメガネの前に設置されたこの通りの案内板と受賞記念の碑。案内板には

  • 国道50号群馬県前橋市を起点に茨城県水戸市に至る141.6㎞の道路であり、群馬・栃木・茨城の3県にまたがり、このうち茨城県内の延長は75.2㎞となっています。

  • 社会が豊かになるにしたがい、次第に心の豊かさや暖かさが求められ、道路の整備も従来の機能本位、すなわち「通るだけの道路」でなく「うるおい」や「ゆとり」などを取り入れた道づくりを目指す時代になりました

  • 幸いこの沿線には種々の伝統産業や多くの文化遺跡があり、これらを取り入れた新しい時代にあった国道50号の道づくりを考えました。

  • 「伝統工芸・芸術文化の道」をテーマに特色ある地域を通る道路は、地域に良く馴染み、調和し、地域のイメージが肌で感じられる、そんな道づくりの第一歩として桜川市(旧岩瀬町・旧真壁町・旧大和村)・笠間市周辺が日本有数の御影石の産地であることから、旧岩瀬町内で「石」を活用した彫刻コンクールを平成2年に開催し、多数の応募作品の中から14点の優秀作品を選出し、岩瀬バイパスの沿道に配し「石匠のみち」として整備したものです。

  • 国土交通省 桜川市

とある。また、隣にあるABCコンテストは1992年(平成4年)に受賞したようだ。ABCコンテストのABCはAmenity(アメニティー)、Beauty(ビューティー)、Community(コミュニティ)の頭文字をとったものらしい。

次からは作品に入る。作品と作者のコメントを記す。

(1)空 作:小口一也

〈作者〉自分がいる。核を抜いた物体がある。そこに空と時との対話を、視る。それらを己の中に止め(時間)を占有したい。

(2)MOKKORI-もっこり- 作:浅賀正治

〈作者〉稲田石の素材と持ち味を生かし、見る人がふれてみたくなる形、単純で明快な形を追求しました。

(3)道くさ 作:佐藤友昭

〈作者〉現在は車社会の中で非常にスピードに追われ、ふと立ち止まってひと休みする心のゆとりを失いつつある。誰の目にも和む様な作品であれば….。

イベント広場

案内板に「イベント広場」とされている場所。正直広場らしさは全くない。

開業時は記念イベントで使用されたことがあるようだが、少なくともここ20年では一度も使われていない。駐車場に続きここも有効活用できていないポイントだ。

ここはそもそも有効活用しようがない気もする。

(4)風の夢 冬 作:鈴木徹

〈作者〉石の持つ自然な形と人工的な形の対比、男と女の形の対比、人間孤独と希望を表現しました。

日本庭園

案内板では日本庭園とされている場所。昔はきちんと手入れされて日本庭園っぽくなっていたのだろうが、放置されて草ボーボー。

灯篭がなければまず見つけられない、ひどい荒れようだ。

(5)変相 作:槇渉

〈作者〉物が壊れてゆく時と、新たに生まれるときは自分にとって同じ意味を持つ。その両方の消えるものへの郷愁と誕生という大きなエネルギーを表現するものである

(6)若い女のトルソ 作:佐治正大

〈作者〉町の人々全てが、町の力全てが胸を張って未来に向かって生きてゆきたい。こんな思いを抽象化した人体によって表現しました。

(7)ラブストーン 作:阿部博安

〈作者〉自然の玉石の中と言うことと、狭められた空間の中で二人が互いに見つめ合うという芝居をすることで、観賞者は互いにプライベートな心理的スリルを感じればよいと思います。

(8)Stonave Ⅰ-ストネーブⅠ- 作:井坂吉男

〈作者〉Stonaveとは、すなわちStone(石)とWave(波)の造語です。この作品のポイントは、八つの部分が全て同一の形態で成り立っているところです。

(9)MIYUKI 作:金子徳善

〈作者コメントなし〉

(10)ポコ・ポコ・ポコ 作:花田俊彦

〈作者〉さまざまな表現をもつ石は、町の中に自分の空間を持ち硬い顔や優しい顔を見せてくれます。私の作品からそんな何かを感じてもらえれば、と思っています。

(11)陽 作:成田隆之

〈作者〉動きのあるモチーフを素に、私なりの表現をしました。通る人たちにかわいがってもらえたらいいと思います。

(12)鳥影 作:鶴見修作

〈作者〉鳥の形の中に人間の面影を抽象し、生命感のある形を空間の中で、どのように生かすか工夫しました。

(13)トリル 作:磨屋正

〈作者〉稲田の西念寺で20年過ごした親鸞の言葉に「一人でいて淋しいと思わば二人いると思え、二人でいて淋しいと思わば三人いると思え、その一人は親鸞なり」とあります。私の彫刻は、出来れば、この親鸞に代わるものとして感じることのできる存在であることを意図しました。

(14)フリーライン 作:猪本拓

〈作者コメントなし〉

以上が石匠のみちの彫刻群。すべてなかなかの作品なのだが、同じくらい気になるのが整備状態の悪さだ。

sakuragawamj.com

上のサイトには15年ほど前の石匠のみちの姿が残っている。雑草はなく、側道の赤や歩道の黄色が鮮やかで、昔は同じ道とは思えないほどきれいな状態だった。

当時から石への関心の薄さが課題だったようだが、現状のような雑草ボーボーで作品が草に覆われてしまう整備状況を見るに行政も石に興味がないようだ。

行政がこれでは放置状態が続くだろうし、何のために整備したのか分からなくなってしまう。

設置したからには管理にも関心を持ってほしい。