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県営小ノ池下地区ほ場整備事業記念之碑

月山寺前の信号角にある「羽黒の大地 ここに拓く」と題された大きな石碑。このあたりの田んぼの耕地整理完成を記念した、田舎によくあるタイプの石碑だ。

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羽黒の大地 ここに拓く

岩瀬町長 川那子明三 書

県営小ノ池下地区ほ場整備事業記念之碑

本地区は岩瀬町の東都、「小ノ池」下に展開する区域で、名勝「桜川」を仰ぎ見る磯部丘の南側に拓けた農村である。地区の東に位置する羽黒山と棟峰を源とした水が小ノ池に貯えられ、さらに緩やかに流下して八十・五ヘクタールの土地を潤し、古来これらの水田からは優良米が産出されてきた。

しかしこの地区は、ほ場及び用排水路が未整備であり、耕作するための農道は狭小で、かん漑も水源を小ノ池に求めてきたが、貯えられた水には限りがあり、農作業には幾多の困難を強いられ、苛酷な自然の前に稲作は極めて厳しいものであった。

このような状況の打破と併せて、近年急速に進む国際化に対応するため、近代的営農体系を確立しようとする機運が盛り上がり、茨城県と岩瀬町及び関係機関からの指導の元に昼夜の別なく会合を開いた結果、地区内の関係受益者二百十名の熱意により同意が得られ待望のほ場整備事業が平成四年から県営事業として採択、実施される運びとなった。

以来九年の歳月と総工費約十一億円余の巨費が投じられ、六十五ヘクタール余の農地が基盤整備され、また霞ヶ浦用水の利水の便に恵まれるとともに、七メートルの基幹農道が東西に地区中央を貫き、県道と幹線町道を結んだ。

換地は、共同減歩率八・五パーセントとし農地の集団化を図り、農業経営の合理化が促進された。

さらに、二十一世紀型水田農業モデルほ場整備事業の採択を受け、賃借権及び農作業受委託による三十七・三ヘクタールの農地流動化とより質の高い連担化で大規模土地利用型農業を実現した。これは生産コストの低減、品質と収量の安定向上を図ったものである。

ここに理想的な生産基盤が完成し、受益地は寸毫の不安もなく計画的営農の基礎が確立し、地域住民の福祉と発展が約束される豊かな農村の建設が期待されるに至った。

関係者が一致協力し、本事業に遂行に尽力された功績を称え、また県並びに町、関係機関ご支援に深く感謝し、幾多の辛酸を克服した大要をここに明記して永久に記念に供し後世に託すものである。

平成十二年十一月吉日

小ノ池下土地改良区 理事長 川那子明三 撰文